【中小企業白書2025年度版-事例紹介㉖】DX×GXで描く地方製造業の成長戦略
はじめに
中小企業診断士試験では、企業経営理論(経営戦略)・財務会計・運営管理・中小企業経営・政策といった複数の科目にわたり、「持続可能な企業経営」が頻出テーマとなっています。今回は、福島県喜多方市のマツモトプレシジョン株式会社が事業承継を契機に、DXとGXを大胆に推進し、賃上げと企業成長を両立させた事例をご紹介します。
課題意識
同社が位置する喜多方市は人口4万人の地方都市。持続可能な雇用を実現するには、待遇面の向上が不可欠だと考えた松本社長は「選ばれる会社になる」ことを目標に掲げ、賃上げの原資確保に向けて生産性向上と環境経営(GX)に同時に取り組む戦略を立てました。
このアプローチは、中小企業診断士試験における「外部環境分析」「成長戦略」「人的資源管理」といった観点と直結しています。
DX改革
DXでは、「どんぶり勘定」と呼ばれていた生産現場に対し、製品別原価をデータで見える化。中小企業向けの基幹統合システム(CMEs)を導入し、原価管理の精度向上を実現しました。非効率な製品ラインを撤退し、高採算事業へ集中投資。作業進捗はタブレットで一元管理し、手書き作業を大幅に削減しました。
これは「業務プロセスの標準化」「IT導入による生産性向上」といった試験範囲の具体的な実践事例です。
GX推進
GX(グリーントランスフォーメーション)としては、東北最大級の自家消費型PPAによるソーラーカーポートを設置。電力を100%再エネ化しただけでなく、カーボンフットプリント(製品別CO2排出量)までCMEsと連携して可視化できる体制を構築しました。
診断士試験では「SDGs」「環境配慮型経営」などがキーワード化しており、GXを成長戦略に組み込んだ点は、非常に先進的な経営事例です。
成果と評価
こうした取組により、全従業員を対象とした4%のベースアップを実現。利益率は社長就任時と比べ約30%上昇し、定着率も向上。GXの推進によっては、大手企業からの新規取引の引き合いが増加するという副次効果も得られています。
生産性・収益性・働きやすさの三位一体改革は、診断士としての企業支援の理想的なゴールイメージと重なります。
今後の展望
同社は今後、ロボット導入によるさらなる自動化に取り組み、「ザ・サステナブルファクトリー」を目指す方針です。松本社長は「DXやGXは手段。選ばれる会社であることが目的」と語っており、経営理念と実行施策の整合性が明確です。
これはまさに「ビジョン型経営」「経営理念と戦略の統合」など、診断士が学ぶべき理論を体現する優良モデルです。
診断士の学び
中小企業診断士試験で得る知識は、こうした企業変革に必要な理論と実務の橋渡しとなります。経営分析・原価管理・業務改善・IT導入支援・環境経営まで、あらゆる場面で診断士の知見が求められる時代です。
KEC中小企業診断士講座では、こうしたリアルな事例を活用しながら、「学びを現場で活かす力」を育てるカリキュラムを提供しています。あなたも、“選ばれる経営人材”としての第一歩を踏み出しませんか?
KEC中小企業診断士講座マネージャー佐野
引用:中小企業白書2025年度版



