【中小企業白書2025年度版-事例紹介㉗】人材戦略が企業成長の鍵

中小企業診断士を目指す皆さんにとって、「経営戦略」「人材育成」「財務管理」などの知識は、机上の理論ではなく、実際の企業事例とリンクしてこそ、その価値を実感できるものです。
今回は、中小企業白書2025年度版に掲載された「株式会社西村製作所」の事例を通じて、経営のリアルを紐解きながら、中小企業診断士として学ぶ知識がどう役立つかを掘り下げます。
製造業の強み
京都市に本社を構える株式会社西村製作所は、スリッターという特殊な裁断機の製造において、日本初の開発企業として70年以上の歴史を誇ります。スリッターは、アルミホイルや電池部材など、私たちの生活に欠かせない素材の加工に使用され、スマートフォンや電気自動車の製造にも深く関わっています。
このようなニッチで専門性の高い分野において、同社は「製品ラインナップの多様性」「高い技術力」「万全のメンテナンス体制」を武器に、顧客のニーズに応えてきました。
人材戦略
同社の成長を支える最大の要素は「人材」です。中小企業にとっての永遠の課題ともいえる「人材の確保・育成・定着」に対して、戦略的な取り組みを実施しています。
具体的には、大学や工業高校とのつながりを活用し、自社にマッチした人材を狙い撃ちで採用。風通しの良い社風づくりや入社3年間の定期面談などを通じて、離職率を極限まで抑制。実際に、大学卒・高校卒ともに「入社後3年以内の離職者ゼロ」という成果を出しており、これは経営者の人材に対する真摯な姿勢の賜物です。
OJTの実践
また、採用した人材を「育てて、辞めさせない」ための施策として、OJT(On the Job Training)を中心とした教育体制を整備。熟練社員が若手にノウハウを丁寧に伝え、技術力を継承していく仕組みが確立されています。
このような人材マネジメントは、中小企業診断士試験の「組織論」「人事戦略」の知識と完全にリンクしており、診断士としての知見を活かす実践例そのものです。
海外展開力
西村製作所のもう一つの特長が、「海外市場への展開力」です。早くから海外販路の構築に着手し、売上高の約8割を海外が占めています。特に、中国のバッテリーメーカーからの大量受注に対応するため、2023年には新たに亀岡工場を開設。50名の技術人材を総動員して供給体制を構築しました。
このような市場機会を逃さず対応できた背景には、日頃からの経営戦略の明確化と、それを支える人材育成の継続があったことがうかがえます。
診断士の視点
この事例を通じて、中小企業診断士を目指す皆さんに伝えたいのは、「現場と理論をつなぐ力」の重要性です。人材戦略・組織運営・事業戦略・海外展開…。これらは診断士試験の全科目に横断的に関係しています。
西村製作所のような成長企業を分析し、強みや課題を見極め、次の成長へ導く提案ができるスキルは、まさに中小企業診断士の真骨頂です。試験で学ぶ知識は、実務に直結しており、「診断士を目指す価値」を実感できるはずです。
KECで学ぶ
KEC中小企業診断士講座では、このような実践的な視点を重視したカリキュラムを提供しています。単なる資格取得ではなく、「経営者の右腕」として活躍するためのスキルを体系的に学び、現場で通用する診断士を目指します。
あなたも、中小企業の成長を支えるパートナーとして、次のキャリアを切り拓いてみませんか?
KEC中小企業診断士講座マネージャー佐野
引用:中小企業白書2025年度版



