【ブログ】診断士とAI時代の歩き方
AIに驚いた日
こんにちは。KECで中小企業診断士講座を担当している佐野です。中小企業診断士業界に携わって10年以上になりますが、ここ最近「AIって本当にすごいな…」と感じる瞬間が増えてきました。正直、初めてChatGPTを触ったときは軽く衝撃でした。資料の構成、案出し、時には文章の骨子まで、まるで優秀なアシスタントのように手伝ってくれる。
でも一方で、「これ、自分の仕事が奪われるんじゃ…?」という漠然とした不安も同時に湧いてきたのが本音です。
ただ、それからいろいろ試して、学んで、実際の業務に取り入れてみると、見えてきたことがあります。AIは脅威というより、むしろ強力なパートナーかもしれないということ。今日はそんな気づきを、KECの教育現場で感じたリアルな視点でお話ししてみます。
変わる学び方
KECでも生成AIの導入は話題になっています。例えば、受講生に「ChatGPTを使ってロジックの構成を練る練習」を取り入れてみたら、思っていた以上に好反応でした。「あ、こういう聞き方をすれば、自分の思考の整理に使えるんだ!」という声も多くて、AIとの“共創”の可能性を強く感じました。
昔は、知識をいかに効率よく詰め込むかがメインの勉強法でした。でも今は違う。「AIと一緒に考える」「AIの答えをどう評価するか」といった、新しい学びのスタイルに進化している気がします。
それに伴って、診断士を目指す人に必要なスキルも変わってきたと思います。単なる暗記や過去問対策だけではなく、論理的思考や、AIの出力を活用・評価できるリテラシーも問われる時代になってきたなと実感しています。
AIに負けない強み
とはいえ、全部AIに任せればいいという話ではありません。AIはあくまで道具であって、最後に判断するのはやっぱり人間。特に中小企業診断士の仕事は、企業の「リアルな悩み」に寄り添うことが大前提。表面的な課題の裏にある“本音”や“背景”を汲み取るのは、今のAIにはまだ難しい領域です。
ある受講生に、「ChatGPTにアドバイスを聞いたけど、うまく腑に落ちなかった」と相談されたことがあります。話を聞いてみると、AIの回答はたしかに正論。でもその人の置かれた状況にはフィットしていなかった。
この時、「正しいこと=最適な答えではない」とあらためて感じました。そして、そこにこそ私たち人間が関与する価値があるんだと確信した瞬間でもありました。
これからの診断士像
今後、AIはますます進化します。中小企業の経営者自身がAIを使いこなすようになるのも時間の問題。そうなると、私たち診断士の存在意義はますます問われることになります。
だからこそ、「AIで出た情報をどう扱うか」「情報をもとに、経営者にどう寄り添うか」が、診断士としての腕の見せ所になってくると思っています。
つまり、これからの診断士に求められるのは、情報の提供者ではなく、意思決定の“伴走者”なんですよね。AIの得意・不得意を見極めながら、本当に必要な問いを一緒に見つけていく——そんな役割が、より一層大切になる気がしています。
最後に
私自身、生成AIに助けられた経験もあれば、逆に「これは違うな」と感じたこともたくさんあります。重要なのは、使いこなす意識と、振り回されない姿勢の両方だと思っています。
教育に携わる者として、そして診断士を目指す方々をサポートする立場として、「AIとどう付き合うか?」をこれからも真剣に考えていきたいです。AIの進化が止まらない今だからこそ、「人にしかできない支援」とは何かを、一緒に模索していけたら嬉しいです。
こういった変化の中で、講座のあり方も少しずつアップデートしています。KECでは、AI活用力を含めた“これからの診断士”に必要な学びを提供していきます。
これからも一緒に学び続けていきましょう!
KEC中小企業診断士講座マネージャー佐野