【中小企業白書2025年度版-事例紹介➈】価格競争に勝つ中小企業の戦略


ニッチ市場とは
2025年度版の中小企業白書では、厳しい経営環境の中でも独自性を武器に競争力を高めている企業が多数紹介されています。その中の一社、新潟県上越市に本社を置くウエタックス株式会社は、まさに中小企業診断士として学ぶ経営戦略やマーケティング、財務の知識が実際に活かされている好例です。水中スピーカーというニッチな製品で国内トップシェアを誇る同社の取り組みは、試験で問われる「差別化戦略」「原価管理」「価格戦略」などの論点をリアルに体現しています。
原価管理力
ウエタックス社は、原材料価格の高騰や人件費の上昇という経営課題に対し、複数の角度から原価低減策を講じました。中小企業診断士試験の財務・会計分野では「限界利益」や「損益分岐点分析」が頻出ですが、同社の「仕入量の調整」「製品ラインナップの集約」は、これら理論を背景に意思決定されたものと読み取れます。結果として、仕入単価を5%削減し、在庫管理の工夫で資金繰りも改善。診断士としての視点が現場に活かされている好事例といえるでしょう。
価格戦略
コスト削減の限界に直面した同社は、価格転嫁を実行。全製品を15〜20%値上げする決断をしました。「中小企業だからこそ実現できる差別化戦略」を軸に、丁寧な顧客説明と同時に保証期間の延長やアフターサポートの強化を打ち出すことで、顧客からの理解を得ることに成功。ここには、中小企業診断士試験の「経営戦略」「マーケティング論」で問われる付加価値創出の視点が活かされています。
再投資力
値上げにより収益性が改善したことで、同社は高精度の測定器を導入。研究開発体制の強化につながり、大学や研究機関との共同研究が増加しました。収益構造を変えることで、企業の技術的基盤も進化。中小企業診断士試験で問われる「事業再構築」「R&D投資戦略」といったテーマにも直結する内容です。最先端の研究に参画しながら海外販路の拡大も進めるなど、持続的成長のための布石が着々と打たれています。
診断士の力
中小企業診断士としての知識は、こうした企業の実務支援や事業戦略の立案に活かせる力となります。原価管理や価格戦略、研究開発への再投資といった理論を、現場でどう使うのか。それを学べるのがKEC中小企業診断士講座の特長です。理論と実践を結びつけ、「自ら考え、提案できる診断士」を目指す方には絶好の学びの機会となるはずです。
最後に
ウエタックス社のように、ニッチ市場で技術力を武器に戦う企業には、中小企業診断士の支援が必要不可欠です。こうした企業の力になりたい、地域産業を支えたいという方は、ぜひKECの講座で一歩を踏み出してみてください。
KEC中小企業診断士講座マネージャー佐野
引用:中小企業白書2025年度版