【中小企業白書2025年度版-事例紹介㉒】働き方改革で人材確保成功


はじめに
中小企業診断士試験では、「組織・人事戦略」「労務管理」といったテーマが繰り返し登場します。特に昨今注目されているのが、働き方改革と人材定着。今回は、三重県津市に本社を置くサンユー技研工業株式会社の先進的な取り組みを紹介しながら、診断士の知識がどのように実務で活きるのかを見ていきましょう。
改革の背景
同社は次世代自動車向けの金型を製造する企業で、堅実に業績を伸ばしてきました。しかし、人材確保は常に悩みの種。立地や業種のハンデから応募が集まりづらく、社長は「働きたいと思われる会社」になるための改革に着手しました。
このような人材戦略は、中小企業診断士試験の「経営戦略」や「組織論」で学ぶ“組織の魅力づくり”の観点から非常に重要な視点です。
個別最適化
「人を雇うことは、人生を買うことに等しい」という理念のもと、社長は一人ひとりのライフステージに合わせた福利厚生を整備。子育てや介護、離婚や不妊治療といった多様な背景に配慮した制度を導入し、柔軟な勤務形態を実現しています。
これは、診断士試験における「人的資源管理」や「ダイバーシティ経営」の実践例といえるもので、理論が実務にどう応用されるかを知る絶好のモデルです。
信頼構築
制度がうまく機能している背景には、社員同士の信頼関係があります。日頃からのコミュニケーションを重視し、親睦のための飲み会費支給や家族同伴の社員旅行など、非公式な交流を通じて“助け合える文化”を育てている点も見逃せません。
このような風土醸成は「組織開発」や「エンゲージメント理論」に通じるもので、中小企業診断士の支援領域でも極めて重要です。
環境改善
さらに、若者にとって魅力的な職場づくりを意識し、オフィス改装も実施。都内のIT企業の内装を参考に、デザイン性や開放感を取り入れたオフィスは、求職者の印象を大きく変えました。実際、訪問したほぼ全員が入社を希望したという結果にもつながっています。
これは診断士試験の「運営管理」で学ぶ“作業環境と動機づけ”の融合といえます。
成果と今後
同社の取り組みは、定着率にも効果を発揮。2023年度の離職理由は病気やキャリアアップによるもので、それ以外の離職はゼロ。平均年齢32歳、女性比率40%と若手・女性の活躍が目立ちます。人材の多様性と長期的な定着が両立できている好事例です。
社員旅行でヨーロッパに行くという話題も、“家族も誇れる会社”というブランドを強く印象づけています。
診断士の視点
こうした企業の変革を支えるのが中小企業診断士です。人材確保、制度設計、組織文化の形成といった分野で、診断士の知見は現場で真価を発揮します。KEC中小企業診断士講座では、実際の事例を交えながら、経営課題に即した実践的な知識を習得できます。
企業と社員の未来をつなぐ専門家として、あなたも第一歩を踏み出してみませんか?
KEC中小企業診断士講座マネージャー佐野
引用:中小企業白書2025年度版