令和8年度 中小企業診断士 第1次試験 「運営管理」全体レビュー
令和8年度 中小企業診断士 第1次試験
「運営管理」全体レビュー
平均得点、問題別正答率、難問ランキング、受験生の解答傾向を分析し、 今回の試験で明らかになった課題と、次年度に向けた具体的な学習方法を解説します。
令和8年度中小企業診断士第1次試験「運営管理」について、 本試験問題・公式正解配点と、KEC自己採点フォーム229名分の回答データをもとに分析しました。
今年度は、 基本問題では得点しやすい一方、 「細かな知識」「計算・条件整理」「似た概念の識別」で大きく差がつく試験 となりました。
01全体結果
今回の回答者ベースでは平均得点が60点を下回りました。 その一方で、正答率90%を超える問題から10%を切る問題まであり、 問題ごとの難易度差が非常に大きかったことが特徴です。
- 基本・定番問題は比較的取りやすかった
- 計算問題では、条件設定の違いを読み取る力が必要だった
- SLP・設備管理・在庫管理などでは、類似概念の区別で差がついた
- 店舗・販売管理では、法規・数値・実務知識まで広く問われた
- 難問に時間を使いすぎない「問題の取捨選択」が重要だった
02問題別正答率
| 問題 | 正答率 | 難易度目安 | 問題 | 正答率 | 難易度目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 85.2% | 易 | 第22問 | 58.1% | 標準 |
| 第2問 | 51.5% | 標準 | 第23問 | 52.8% | 標準 |
| 第3問 | 77.3% | 易 | 第24問 | 55.9% | 標準 |
| 第4問 | 91.3% | 易 | 第25問 | 53.3% | 標準 |
| 第5問 | 89.5% | 易 | 第26問 | 77.7% | 易 |
| 第6問 | 58.1% | 標準 | 第27問 | 85.2% | 易 |
| 第7問 | 67.7% | 標準 | 第28問 | 31.4% | 難 |
| 第8問 | 45.4% | やや難 | 第29問 | 6.1% | 超難 |
| 第9問 | 48.5% | やや難 | 第30問 | 69.9% | 標準 |
| 第10問 | 33.2% | 難 | 第31問 | 82.1% | 易 |
| 第11問 | 46.7% | やや難 | 第32問 | 58.5% | 標準 |
| 第12問 | 81.7% | 易 | 第33問 | 38.0% | 難 |
| 第13問 | 45.4% | やや難 | 第34問 | 23.1% | 難 |
| 第14問 | 26.2% | 難 | 第35問 | 50.7% | 標準 |
| 第15問 | 48.9% | やや難 | 第36問 | 69.9% | 標準 |
| 第16問 | 20.5% | 難 | 第37問 | 51.1% | 標準 |
| 第17問 | 34.5% | 難 | 第38問 | 74.7% | 易 |
| 第18問 設問1 | 58.5% | 標準 | 第39問 | 71.2% | 易 |
| 第18問 設問2 | 17.9% | 超難 | 第40問 | 44.5% | やや難 |
| 第19問 | 44.1% | やや難 | 第41問 | 31.4% | 難 |
| 第20問 | 52.4% | 標準 | 第42問 | 54.1% | 標準 |
| 第21問 | 77.3% | 易 | 第43問 | 75.1% | 易 |
03難問ランキング TOP10
JISで定められた店舗の推奨照度について、 重要陳列部や店内全般、スペシャル陳列部などの具体的なルクス数を問う問題でした。
正解「オ」を選んだのは14名に対し、 最多回答は「エ」の145名で、回答者の63.3%が選択しました。
- 細かな数値知識を直接問われた
- 頻出論点というより、難問としての色合いが強い
- 本試験では深追いしない判断も重要
設備1と設備2をすでに導入済みという条件のため、 既に発生している固定費に惑わされず、変動費を中心に判断する必要がありました。
正解「エ」は41名に対し、「イ」を144名、62.9%が選択しました。
- 設問1と設問2で前提条件が変化
- 固定費を意思決定に含めてしまった可能性
- 計算公式よりも条件整理が重要だった
L8直交配列表と線点図を用いて、因子と交互作用を適切な列へ割り付ける問題でした。
- 実験計画法の用語暗記だけでは対応困難
- 線点図を実際に使う力が必要
- 因子と交互作用の割付ルールの理解が必要
正解「オ」は53名でしたが、「イ」を118名が選択し、 半数以上の受験生が同じ誤答に集中しました。
- 似た概念・条件を取り違えた可能性が高い
- 選択肢比較の精度が求められた
- 誤答肢まで復習する価値が高い問題
PQ分析、アクティビティ、相互関係・面積・調整など、 SLPの各構成要素を正確に理解しているかが問われました。
- 用語を知っていても説明できない
- SLPの構成要素を混同
- 体系的な比較整理が必要
一般懸賞、共同懸賞、総付景品などについて、 具体的な規制内容や数値を判断する問題でした。
- 店舗・販売管理の法規分野で失点
- 制度の概要だけでなく数値まで必要
- 直前期の整理が重要
顧客ID、性別、年齢、優良顧客・一般顧客などの実際のデータについて、 名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度を判断する問題でした。
- 用語だけではなく実データへの適用が必要
- データ分析分野への対応不足
- 具体例を使った学習が有効
OC曲線、AQL、LTPD、生産者危険、消費者危険などを正確に区別する問題でした。
正解「イ」76名に対して「ウ」73名と、回答がほぼ二分しました。
- 生産者危険と消費者危険を混同
- AQL・LTPDの意味が曖昧
- 用語を横並びで整理する必要がある
移動平均法と指数平滑法について、 グラフの動きからどの予測方法が使われているかを判断する問題でした。
- αが大きいほど直近実績への反応が強い
- αが小さいほど予測値がなだらかになる
- 公式だけでなくグラフの特徴まで理解する必要がある
ダブルビン方式と発注点補充点方式について、 発注点、発注間隔、発注量などの共通点と相違点を判断する問題でした。
- 類似する発注方式を混同
- 単独暗記より比較学習が必要
- 発注量と発注タイミングを分けて整理する必要がある
04受験生の解答傾向
① 「知っている」と「使える」の間に大きな差
第4問の線形計画法は正答率91.3%と非常に高かった一方で、 実験計画法20.5%、需要予測34.5%、第18問設問2は17.9%でした。
計算そのものが苦手というより、 定番パターンから条件や問われ方が変化した際の対応力 に課題があると考えられます。
② 正誤問題で「一部分だけ違う」を見抜けていない
5Sのような基本論点では高得点でしたが、 設備管理やSLPになると正答率が大きく低下しました。
用語の名称だけではなく、 その説明のどの部分までが正しく、どこからが誤りなのか を判断する力が求められています。
③ 店舗・販売管理は細かな制度・数値知識で差
景品表示法、店舗照明、資金決済法、尺度水準などで正答率が低下しました。
一方、インストアプロモーション、GTIN、商品コードなどの基本・標準論点では 高い正答率となっています。
④ 難問の見切りが得点戦略上重要
第29問のような正答率6.1%の問題に時間を使うより、 正答率70~90%の基本問題を確実に得点することが合格には重要です。
「難問を正解する力」以上に、「取るべき問題を落とさない力」 が必要な試験でした。
05今回の結果から見える受験者の課題
課題1 公式を覚えているだけで、条件変化に対応できない
PERT、線形計画法、需要予測、設備選択、在庫管理などは、 同じ公式でも問題文の条件が変われば判断方法も変わります。
「この公式を使う」ではなく、 「何を求める問題で、どの条件が意思決定に影響するか」を整理する力が必要です。
課題2 似た用語・制度の区別が曖昧
MTBFとMTTR、5S、定量発注方式と定期発注方式、 在庫型物流センターと通過型物流センターなど、 似た概念を横並びで比較する学習が不足しています。
課題3 店舗・販売管理の法規・最新論点が弱い
景品表示法、資金決済法、個人情報保護法、EC、GTINなど、 実務に近い制度・法規論点が幅広く出題されています。
課題4 細かい数値知識に時間をかけすぎる
店舗照明のような細かな数値問題は、 学習コストに対して本試験での得点期待値が必ずしも高くありません。
頻出基本論点を優先し、その後に周辺・数値論点を補強する順序が重要です。
課題5 本試験での問題の取捨選択が不十分
運営管理は90分で多数の問題を処理します。 難しい計算・図表・細かな法規問題に固執すると、 基本問題を解く時間が不足します。
06次年度に向けた具体的な学習方法
過去問を最低3回転する
同じ問題を3回解くだけではなく、 回転ごとに目的を変えることが重要です。
1回転目:知識確認
正解できるかを確認し、知らない用語・公式・制度を洗い出します。
2回転目:全選択肢を説明
正解肢だけでなく、誤答肢のどこが間違いかを説明します。
3回転目:条件変化に対応
数値や前提条件が変わっても、同じ考え方を使える状態を目指します。
目標は「3回解いた」ではなく、 初見の聞かれ方でも判断できる状態です。
計算問題は「条件を変えた問題」まで解く
- PERTの作業時間を1時間変えた場合
- 需要予測の平滑化係数αを変えた場合
- 固定費・変動費の条件が変わった場合
- 発注間隔や調達期間が変わった場合
- ライン編成のピッチタイムが変わった場合
公式を覚えるだけではなく、 条件変更によって答えがどう動くか を説明できる状態まで練習します。
似た概念は比較表で整理する
- MTBF と MTTR
- 整理・整頓・清掃・清潔・躾
- 定量発注方式と定期発注方式
- 在庫型物流センターと通過型物流センター
- 摘み取り方式と種まき方式
- AQL と LTPD
- 生産者危険と消費者危険
「定義」「目的」「判断基準」「典型的な誤答」の4項目で 横並びに整理すると効果的です。
店舗・販売管理は法改正・最新論点も確認する
基本論点を固めた後に、次の分野を直前期に確認します。
- 景品表示法
- 資金決済法
- 個人情報保護法
- EC・ネットショップ運営
- GTIN・商品コード
- 物流・流通システムの最新動向
90分で「取る問題・後回しにする問題」を判断する
本試験形式の演習では、すべての問題を最初から完璧に解こうとしないことが重要です。
- 知識で判断できる基本問題は最優先で解く
- 標準計算問題は条件を整理して処理する
- 細かな数値・法規・難しい図表問題は後回しにする
- 1問に3~4分以上使いそうなら一度保留する
- 最後にマーク漏れと「適切・不適切」の読み違いを確認する
※正答率、平均正答数、平均得点および解答傾向は、 KEC自己採点フォーム回答者229名のデータに基づく集計であり、 実際の全受験者の結果とは異なる場合があります。



