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令和8年度 中小企業診断士 第1次試験 「中小企業経営・政策」全体レビュー

令和8年度 第1次試験分析 中小企業経営・政策 受験生解答データ

令和8年度 中小企業診断士 第1次試験
「中小企業経営・中小企業政策」全体レビュー

KEC自己採点フォーム243名分の回答データをもとに、 平均得点・問題別正答率・難問ランキング・受験生の解答傾向を分析。 次年度に向けた白書・政策の具体的な学習方法まで解説します。

令和8年度「中小企業経営・中小企業政策」について、 本試験問題・協会公表正答と、KEC自己採点フォーム243名分の回答データを照合して分析しました。

今年度は、 「白書・統計の大きな傾向は比較的取りやすい一方、 細かな統計数値と最新施策・支援制度で大きく差がついた試験」 だったと評価できます。

01全体結果

分析対象 243名 KEC自己採点フォーム回答
平均正答率 54.1% 全42設問
平均得点 54.3点 100点満点
60点以上 34.6% 84名/中央値55点

平均得点は54.3点となり、KEC自己採点フォーム回答者ベースでは、 科目合格ラインの60点を下回りました。

一方で、問題別正答率は 22.2%~93.8%まで大きくばらついています。 つまり、すべての問題が均等に難しかったわけではなく、 「取るべき問題」と「難問」が明確に分かれた試験だったといえます。

  • 白書・統計の大きな方向性を問う問題は比較的高得点
  • 細かな順位・比率・時系列変化では正答率が低下
  • 中小企業政策では制度の対象者・期間・補助率・支援内容で差がついた
  • 「100億宣言」など最新政策も出題
  • 難問を追うより、基本・標準問題の取りこぼし防止が重要だった

02問題別正答率

問題 正答率 問題 正答率
第1問65.0%第17問80.7%
第2問58.4%第18問41.2%
第3問69.5%第19問 設問176.5%
第4問93.8%第19問 設問271.6%
第5問72.8%第20問33.7%
第6問50.6%第21問32.5%
第7問70.8%第22問 設問174.9%
第8問 設問174.9%第22問 設問277.4%
第8問 設問249.8%第23問50.2%
第9問62.1%第24問73.3%
第10問34.6%第25問28.0%
第11問85.2%第26問23.5%
第12問25.1%第27問 設問179.8%
第13問51.4%第27問 設問276.5%
第14問47.7%第27問 設問357.6%
第15問 設問139.9%第28問33.7%
第15問 設問223.5%第29問 設問144.4%
第16問 設問122.2%第29問 設問239.5%
第16問 設問271.2%第30問48.6%
第31問 設問125.1%
第31問 設問272.8%
第32問 設問129.6%
第32問 設問230.9%

03正答率が高かった問題

順位 問題 正答率
1位第4問93.8%
2位第11問85.2%
3位第17問80.7%
4位第27問 設問179.8%
5位第22問 設問277.4%
6位第19問 設問176.5%
6位第27問 設問276.5%
8位第8問 設問174.9%
8位第22問 設問174.9%
10位第24問73.3%

特に第4問は93.8%と非常に高い正答率でした。 こうした問題は、細かな統計値を暗記するというより、 企業規模別の長期的な方向性や大小関係を理解できているか がポイントになります。

白書対策では、グラフを丸暗記するのではなく、 「増加か減少か」「大企業と中小企業のどちらが高いか」 「差が拡大しているか縮小しているか」 といった大きな方向性を押さえることが重要です。

04難問ランキング TOP10

第1位 第16問 設問1:価格交渉 22.2%

受注企業からの交渉申し出、発注企業からの申し入れ、 取引停止等を恐れて交渉を申し出なかった企業の割合を比較する問題でした。

  • 白書・調査結果の具体的順位まで把握する必要があった
  • 価格転嫁というテーマを知っているだけでは対応困難
  • 近年の重点テーマをグラフまで確認する必要がある
第2位 第15問 設問2:手元流動性 23.5%

中小企業の製造業・非製造業について、 2003年度と2020年度の手元流動性を比較する問題でした。

  • 手元流動性の指標理解が不足
  • 製造業と非製造業の動きを混同
  • 企業財務の長期変化を整理できていない
第3位 第26問:SBIR 23.5%

SBIRの指定補助金等を受けた中小企業者等への支援措置に関する問題でした。

  • 制度趣旨だけでなく具体的支援策まで必要
  • 補助金・融資・信用保証等を混同
  • 制度名だけの暗記では対応しにくい
第4位 第12問:研究開発費比率 25.1%

1994年度から2022年度までの売上高研究開発費比率を 企業規模別に比較する問題でした。

  • 大企業・中小企業の水準を混同
  • 「一貫して」などの表現への対応不足
  • 数値暗記ではなく時系列理解が必要
第5位 第31問 設問1:持続化補助金 25.1%

小規模事業者持続化補助金(創業型)について、 対象や要件を正確に理解しているかが問われました。

  • 通常枠・創業型等の制度を混同
  • 対象者・申請要件の整理不足
  • 最新制度への対応不足
第6位 第25問:海外展開支援 28.0%

中小企業基盤整備機構の「海外展開相談」 「海外展開ハンズオン支援」の具体的な支援内容が問われました。

  • 支援機関ごとの制度を区別できていない
  • 相談・ハンズオン・補助金を混同
  • 実際の支援内容まで確認する必要がある
第7位 第32問 設問1 29.6%

政策分野の終盤で出題され、約7割が誤答しました。

  • 似た制度・要件の区別が必要
  • 数字まで含めた制度理解が不足
  • 制度比較型の学習が必要
第8位 第32問 設問2 30.9%

第32問は設問1・2とも30%前後となり、 政策分野で大きく差がついた問題でした。

  • 対象者・金額・期間を横断比較できていない
  • 制度単位の丸暗記になっている
  • 最新情報の上書きが必要
第9位 第21問:事業承継・M&A補助金 32.5%

事業承継促進枠について、 承継時期、賃上げ、補助上限額、補助率などを問う問題でした。

  • 補助率・上限だけの暗記では不足
  • 対象時期・加算要件まで必要
  • 制度改正への対応が重要
第10位 第20問・第28問 33.7%

第20問は創業関連保証、第28問は中小企業成長加速化補助金でした。

  • 創業時期等の時間要件で失点
  • 最新補助金の申請要件が曖昧
  • 制度の「対象・金額・期間」のセット整理が必要

05受験生の解答傾向

① 白書の「大きな傾向」は比較的取れている

第4問93.8%、第11問85.2%、第17問80.7%など、 長期的な増減や大小関係を理解していれば判断しやすい問題では高い正答率となりました。

白書対策では、すべての数字を覚えるのではなく、 「増減」「大小」「順位」「長期傾向」 を優先的に押さえることが重要です。

② 細かな順位・数値になると正答率が急落

第12問、第15問設問2、第16問設問1などでは、 正答率が20%台まで低下しました。

白書のグラフを単に眺めるのではなく、 「このグラフから試験問題を作るなら何を聞くか」 まで考えることが重要です。

③ 中小企業政策は制度の細部で差がついた

第25問、第26問、第31問設問1、第32問など、 政策分野の後半で低い正答率が目立ちました。

制度名を知っているだけでは得点できない という傾向が明確に出ています。

④ 最新施策への対応力で差

「100億宣言」や「中小企業成長加速化補助金」など、 近年の政策動向を反映したテーマも出題されました。

過去問だけで学習を完結させず、 試験年度の最新施策を直前期に確認する必要があります。

06今回の結果から見える受験者の課題

課題1 白書を「数字の丸暗記」で学習している

すべての統計数値を覚えることは現実的ではありません。 まず大小・増減・順位・長期傾向を整理する必要があります。

課題2 グラフから出題ポイントを読み取れていない

グラフを見るだけで終わらず、 「どことどこを比較させる問題が作れるか」を考える学習が必要です。

課題3 政策を制度名だけで覚えている

政策は「対象者・目的・支援内容・金額・補助率・期間・申請要件」を セットで整理する必要があります。

課題4 似た制度を比較していない

補助金、融資、信用保証、共済、税制などを個別に覚えるだけでは、 選択肢で制度内容を入れ替えられたときに対応できません。

課題5 最新施策の確認が不足

中小企業政策は年度ごとに制度内容が変わります。 数年前の教材や過去問だけでは十分ではありません。

07次年度に向けた具体的な学習方法

1

過去問を最低3回転する

ただし、単純に同じ問題を3回解くだけでは不十分です。

  • 1回転目:正解できる知識・できない知識を仕分ける
  • 2回転目:全選択肢について「なぜ○・なぜ×」を説明する
  • 3回転目:本試験と同じ90分で解き、時間配分まで確認する

白書問題なら 「なぜその大小関係になるのか」、 政策問題なら 「なぜ他の選択肢は違うのか」 まで説明できる状態を目指します。

2

白書は「4つの軸」で整理する

  • 増えたか、減ったか
  • 大企業と中小企業のどちらが高いか
  • 業種による違いは何か
  • 近年どのような変化が起きているか

グラフをそのまま覚えるのではなく、 「中小企業は○○が高いが、△△は低い」 のように一文へ変換して覚えるのが効果的です。

3

「白書ノート」を作り込みすぎない

大量のグラフをノートへ写す学習は時間がかかる割に、 得点には直結しにくい方法です。

1つのグラフにつき、 「試験で聞かれそうな結論を1~2個」 に絞って整理してください。

4

政策は比較表で整理する

制度 対象 支援内容 重要ポイント
創業関連保証 創業者等 信用保証 創業時期
事業承継・M&A補助金 承継・M&A 補助 枠別要件
中退共 中小企業 退職金制度 加入要件・助成
セーフティネット貸付 業況悪化企業等 融資 回復見込み等
持続化補助金 小規模事業者等 販路開拓等 枠別要件

制度ごとに、 「対象・目的・支援内容・金額・期間」 を横並びにすると、選択肢の入れ替えに気づきやすくなります。

5

数字は優先順位をつけて覚える

すべての数字を同じ重要度で覚える必要はありません。

  • 最優先:対象要件を決める資本金・従業員数・年数
  • 次に重要:補助率・補助上限額・支援期間
  • 白書:代表的な割合・順位・大小関係

細かな統計値を小数点まで大量に暗記するより、 制度の合否を左右する数字を優先してください。

6

最新政策は直前期に必ず更新する

政策分野は過去問だけでは完成しません。

  • 補助金
  • 信用保証
  • 融資制度
  • 事業承継
  • 創業支援
  • 生産性向上
  • 賃上げ・価格転嫁
  • DX・デジタル化
  • 海外展開

基本テキスト → 過去問 → 制度比較 → 直前期に最新施策を上書き という流れが有効です。

0860点を取るための得点戦略

今回の平均得点は54.3点。 科目合格ラインの60点までは約5.7点です。 つまり平均的な受験生は、 あと2~3問程度を上積みできれば60点に届く 水準でした。

ここで重要なのは、正答率20%台の難問をすべて取れるようにすることではありません。

  • 正答率70~90%の問題は絶対に落とさない
  • 正答率50~70%の標準問題を過去問演習で得点源にする
  • 正答率20~30%台の細かな統計・政策問題は深追いしない
  • 90分の中で「取る問題」を優先する

白書の基本的な傾向や中小企業基本法、中退共など、 多くの受験生が得点している基本論点を取りこぼさないこと が、60点への最短ルートです。

総括

令和8年度「中小企業経営・中小企業政策」は、 KEC自己採点フォーム243名の平均得点が 54.3点となり、 決して易しい試験ではありませんでした。

ただし、問題別では正答率93.8%の問題がある一方、 22%台の問題もあり、 難易度差が非常に大きい試験でした。

今年度の結果から分かるのは、この科目が 「白書を丸暗記する科目」でも、 「政策の数字をひたすら暗記する科目」でもない ということです。

次年度に向けては、 「白書は大小・増減・順位・傾向で理解する」
「過去問を最低3回転し、全選択肢を検証する」
「政策は対象者・目的・金額・要件を比較表で整理する」
「最新施策は直前期に必ずアップデートする」
「難問より標準問題を確実に取って60点を作る」
ことが重要です。

また、今年度はデジタル化、価格転嫁、ソフトウェア投資、 売上高100億円を目指す企業への支援など、 現在の中小企業が直面する課題そのもの が出題テーマとなりました。

白書・政策を単なる暗記事項ではなく、 「今、中小企業に何が起きているのか」
「それに対して国がどのような政策を行っているのか」
というストーリーで理解することが、 次年度の得点力につながります。

※本記事の正答・配点は、一般社団法人日本中小企業診断士協会が公表した 令和8年度第1次試験「中小企業経営・中小企業政策」の正解・配点に基づいています。
※正答率・平均正答率・平均得点・中央値・60点以上の割合および解答傾向は、 KEC自己採点フォーム回答者243名のデータに基づく集計であり、 実際の全受験者の結果とは異なる場合があります。
※複数設問を含む問題は設問単位で集計し、全42設問として分析しています。
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