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令和8年度 中小企業診断士 第1次試験 「経済学・経済政策」全体レビュー

令和8年度 第1次試験分析 経済学・経済政策 受験生解答データ

令和8年度 中小企業診断士 第1次試験
「経済学・経済政策」全体レビュー

平均得点・問題別正答率・難問ランキング・受験生の解答傾向を分析し、 今回の試験で明らかになった課題と、次年度に向けた学習方法を解説します。

令和8年度中小企業診断士第1次試験「経済学・経済政策」について、 試験問題・正答およびKEC自己採点フォームの回答データをもとに分析しました。

今年度は、単純な用語暗記だけではなく、 経済理論を正確に理解し、図表やグラフから結論を導く力 が強く求められる試験となりました。

01全体平均と総評

分析対象 約307名 KEC自己採点フォーム回答者
平均得点 49.2点 100点満点
平均正答率 49.2% 全25問・各4点

令和8年度の経済学・経済政策は、全体として 近年では難しい部類に入る試験だったと考えられます。

特に、マクロ経済、国際経済、生産者理論、厚生経済学の分野で、 図表問題や複数の知識を組み合わせて判断する問題が多く出題されました。

  • 経済用語を暗記しているだけでは正解しにくい問題が多かった
  • グラフの傾きやシフト、図中の面積の意味を判断する力が求められた
  • 正誤問題では、選択肢の一部分まで正確に検討する必要があった
  • 難問にこだわらず、基本問題を確実に得点できたかどうかが合否を左右した

一方で、経常収支、企業の短期費用曲線、独占的競争、 情報の非対称性など、基本知識を押さえていれば正解できる問題も含まれていました。 取るべき問題を確実に取る判断力も重要だったといえます。

02問題別正答率

正答率が高かった問題

順位 問題 主な出題テーマ 正答率 難易度
1位 第2問 経常収支の国際比較 86.3%
2位 第17問 企業の短期費用曲線 76.8%
3位 第20問 独占的競争市場 71.6%
4位 第9問 マンデル=フレミング・モデル 66.3% 標準
5位 第21問 情報の非対称性 64.1% 標準
6位 第7問 IS-LM分析 62.1% 標準
7位 第25問 ゲーム理論・貿易政策 61.1% 標準
8位 第3問 可処分所得と消費支出 60.5% 標準
9位 第16問 生産者補助金と余剰分析 57.5% 標準
10位 第10問 内生的経済成長論 55.9% 標準

正答率が低かった問題

難問順位 問題 主な出題テーマ 正答率
1位 第11問 資本移動と所得分配 19.3%
2位 第1問 財政収支の国際比較 22.2%
3位 第23問 社会厚生関数 22.9%
4位 第4問 国民経済計算 26.1%
5位 第8問 貨幣理論 31.4%
6位 第19問 費用逓減産業 32.0%
7位 第13問 需要の価格弾力性 34.6%
8位 第14問 ワルラス安定条件 37.6%
9位 第6問 貯蓄・投資と倹約のパラドックス 40.5%
10位 第12問 国際的な労働移動 44.1%

03難問ランキング

第1位 第11問 19.3%

資本市場の自由化に伴う2国間の資本移動について、 国内生産量、国民所得、資本所得、賃金所得の変化を判断する問題でした。 「国内で生産された所得」と「国民が受け取る所得」を区別する必要がありました。

第2位 第1問 22.2%

日本、アメリカ、ドイツの財政収支の推移を識別する統計問題でした。 単年度の数字ではなく、各国の財政構造と長期的な推移を読み取る力が必要でした。

第3位 第23問 22.9%

ベンサム型とロールズ型の社会厚生関数に関する問題です。 名称の暗記だけではなく、それぞれがどのような価値判断に基づくかを 理解する必要がありました。

第4位 第4問 26.1%

雇用者報酬、営業余剰、混合所得、持ち家の帰属家賃など、 国民経済計算上の細かな定義が問われました。

第5位 第8問 31.4%

マネタリーベース、マネーストック、貨幣乗数、日本銀行当座預金などを 正確に区別し、現金保有比率の変化まで判断する問題でした。

第6位 第19問 32.0%

費用逓減産業における利潤最大化、平均費用価格形成、 限界費用価格形成を比較する問題でした。

第7位 第13問 34.6%

需要の価格弾力性と価格変化による支出額の変化が問われました。 需要曲線の傾きと弾力性を混同すると正解できない問題でした。

第8位 第14問 37.6%

市場均衡の安定性を判断するワルラス安定条件の問題です。 出題頻度が比較的低い論点であり、対策不足が表れた可能性があります。

第9位 第6問 40.5%

ケインズ型消費関数、貯蓄関数、均衡GDP、 倹約のパラドックスを組み合わせた総合問題でした。

第10位 第12問 44.1%

2国間の労働移動が、生産量、賃金所得、資本所得に与える影響を、 図中の面積から読み取る問題でした。

04受験生の解答傾向

第11問:資本移動と所得分配

正解:エ 最多回答:イ

資本所得と国民所得を混同した受験生が多く見られました。 国内総生産と国民所得、資本の所有地と生産地を区別することが課題です。

第23問:社会厚生関数

正解:ア 最多回答:ウ

ロールズ型では、最も効用の低い人の効用が社会厚生を決定します。 「最小効用に着目する」という考え方の理解不足が表れました。

第4問:国民経済計算

正解:エ 最多回答:ア

アルバイトで得る所得と自営業者の混合所得を混同した回答が多く、 雇用者報酬・営業余剰・混合所得の区別が課題となりました。

第1問:財政収支の国際比較

正解:エ 最多回答:ア

数字の暗記ではなく、日本・アメリカ・ドイツの財政構造と、 コロナ禍を含む長期的な収支の推移を理解する必要がありました。

05令和8年度の出題傾向

マクロ経済・国際経済

  • 国民経済計算
  • GDPデフレーター
  • ケインズ型消費関数
  • IS-LM分析
  • 貨幣理論
  • マンデル=フレミング・モデル
  • 経済成長論
  • 資本・労働移動

ミクロ経済

  • 需要の価格弾力性
  • 異時点間の消費
  • 補助金と余剰分析
  • 企業の短期費用曲線
  • 生産可能性曲線
  • 費用逓減産業
  • 独占的競争市場
  • 労働市場

厚生・情報・統計

  • 情報の非対称性
  • 高等教育無償化
  • 社会厚生関数
  • ゲーム理論
  • 財政収支の国際比較
  • 経常収支の国際比較
  • 家計所得・消費統計

全25問のうち、図表やグラフを用いた問題が多く、 知識問題よりも、理論を使って判断する問題の比重が高い構成 となっていました。

また、経済財政白書や財務省資料などを用いた統計問題も出題されており、 経済理論だけでなく、現実の日本経済や国際経済の動向を理解する必要性も高まっています。

06今回の結果から見える受験生の課題

課題1 グラフを自分で再現できない

完成した図を見て判断するだけではなく、どの曲線が何を表すのか、 曲線の交点や図中の面積が何を意味するのかを説明できる必要があります。

課題2 公式や用語の暗記に偏っている

需要の価格弾力性や貨幣乗数などは、公式の暗記だけでは対応できません。 変数の変化が均衡点、曲線の傾き、総支出、余剰に与える影響を 因果関係で理解する必要があります。

課題3 所得・余剰・費用の区別が曖昧

資本所得、賃金所得、国民所得、国内生産量、消費者余剰、生産者余剰、 固定費用、可変費用などを正確に区別できていないケースが見られました。

課題4 厚生経済学・情報の経済学への対応不足

社会厚生関数、情報の非対称性、教育政策などは、 単純な需要・供給分析とは異なる考え方が必要です。 用語と具体例を結び付けて理解する必要があります。

課題5 統計資料を読む経験が不足している

財政収支、経常収支、家計所得・消費などについて、 数値を細かく暗記する必要はありませんが、 主要国の経済構造と近年の大きな傾向は把握しておく必要があります。

07次年度に向けた学習方法

  1. 主要グラフを何も見ずに描く

    IS-LM、需要・供給、独占、企業の費用曲線、労働市場、 生産可能性曲線などを、軸・曲線名・均衡点まで自分で描きましょう。

  2. 「なぜそうなるのか」を説明する

    正解肢だけを覚えるのではなく、 なぜ正しく、他の選択肢のどこが誤っているのかを言葉で説明します。

  3. 過去問を論点別に3~5回転する

    年度順だけでなく、IS-LM、弾力性、独占、余剰分析、国際経済など、 同じ論点をまとめて演習します。

  4. 選択肢単位で復習する

    正解番号の確認だけで終わらせず、 各選択肢の誤っている箇所を修正できる状態を目指します。

  5. 白書・統計は傾向を確認する

    数値の丸暗記ではなく、日本経済の特徴、主要国との違い、 近年の変化を中心に確認しましょう。

  6. 本試験では取捨選択を徹底する

    難しい図表問題に時間をかけすぎず、 1周目は確実に判断できる基本問題を優先する戦略が有効です。

総括

令和8年度の経済学・経済政策は、 「知識暗記型」から「理解・思考型」へのシフトが 明確に表れた試験でした。

図表を用いた分析問題や、複数の経済理論を組み合わせて判断する設問が多く、 単なる公式暗記では十分に対応できませんでした。

次年度に向けては、 「グラフを描ける」「理論を説明できる」 「誤った選択肢の理由まで説明できる」 状態を目指すことが、安定した得点につながります。

※本記事の正答は、一般社団法人日本中小企業診断士協会が公表した 令和8年度第1次試験「経済学・経済政策」の正解・配点に基づいています。
※正答率、平均得点および解答傾向は、KEC自己採点フォーム回答者のデータに 基づく集計であり、実際の全受験者の結果とは異なる場合があります。
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